monologue

僕はあの日
君に「好きです」と
言ってほしかったから
あの河川敷で
一人自転車を走らせていたんです

「ああ、もうすぐ春が来ますね」と
そんな事を考えながら
一人雪の残る
中州を見ていたんです

珈琲を飲んだ店も
思いを馳せた海岸も
嫌悪した学校も
今では懐かしく
全部が変わってしまったけど
今は「ありがとう」と
それだけを僕は想う

人は皆
何かにつけて
「誰かの為に」とか言うけど
「自分の為に」
想う事があっても
時としていいんじゃない?

あの日と同じ澄んだ空を
「僕はここから
初めて歩き出したのですね」と
何となく思い出し
同じように
自転車を走らせているのです

不器用に
人が2年で
やっている事を
僕は10年かけて
やっているだけの
それだけの違いなのです

ゆっくりと
風景を見ながら
ゆっくりと
生きていくのも
いいんじゃないかと
僕はただ想う

僕はただ想う