アイデンティティの確立
世はすべて事もなく…

世界の終わりという名の雑貨店

濱田樹石監督作品

出演、西島秀俊・高橋マリ子・川合千春・加藤夏季

主人公の湖摩は己の存在意義を確立出来ず
周囲と上手く馴染む事の出来ない女子高生
片や自分自身に自身が持てず
廃墟寸前のビルの一室で奇妙な雑貨店を営む青年
湖摩はその雑貨店の存在を知ってから
「やっと私の居場所を見つけた」と店に入り浸る
同じように店を営む青年も二人だけの空間が世界の全てであるかの如く
湖摩との束の間の時間の交流を楽しむ
そして二人は…

この映画
確実に好き嫌いがはっきり出る映画なのではないかと…
オ−プニングや劇中の至る所で、制服の女子高生のロ−アングルが出ますが
新手のセクハラか!?と本気で思って見るの止めようと何度も思いました
※俺は制服の女子高生大嫌いなんで…
そのくせ内容は非常にシュ−ルで
なんていうか早い話が少女の自分探し的な話です

恋愛物語は嫌いなんですが
こういうコンセプチュアルな作品は嫌いじゃないです
女子高生が主役の映画にありがちな
性的な表現が一切無いのも自分的には好印象な映画です
今日びの映画に目立つデジタル処理な映像は全くありません
ハンディカム1台で撮ったんじゃないかと思えるような荒い映像ですし
ただその表現方法が
なんとなく「誰もが持ってる虚無的な一面」を表しているような…

全体的にミュ−ジックビデオのような雰囲気です
決して万人にウケる映画ではありません

オ−プニングでは湖摩が夕日(?)に手をかざして
「世界が壊れていくような感じがする」
と、言っていたのに対しラストシ−ンでは
同じように手をかざして
「こんにちわ」
と、呟いていました
恐らく青年と交流して、短い間でも「自分」を見つめ直せて
最後に自分に出会えたのでしょうけど…

少女が何を考えていたのか
青年は少女に何を感じていたのか
そしてお互いはお互いをどう思っていたのか
最後までそれは明かされません

誰しもが抱えている歪みなのかもしれません
自分の中に湖摩を見る人もいれば
青年と自分をダブらせる人もいるでしょう
しかし…

俺は思う
未来というものはとても虚無的で
掴めないしそ其処には何も無い
本当に何も無い

しかし希望も其処にしかない

俺はただそう思う