押井守監督作品
出演:マウゴジャ−タ・フォレムニック、ダリュシュ・ゴルヴァスキ
荒廃しきった近未来
若者は現実から目を背け、オンライン上の仮想戦闘ゲ−ムに没頭していた
時に脳髄を損傷し、「未帰還者(LOST)」と呼ばれる廃人を作り出す
凄まじく危険なそのゲ−ムを、人は「英雄の眠る島」
「AVALON(アヴァロン)」と呼んだ
主人公のアッシュ(マウゴジャ−タ)は
かつてアヴァロンで最強を謳われたパ−ティ「ウィザ−ド」の女戦士
過去の事故による「パ−ティ解散」のトラウマを背負いながらも
日々ソロプレイヤ−としてアヴァロンへログインしている
ある日彼女はアヴァロンで自分と同じ戦い方を用い勝利を収める謎の男(ダリュシュ)を目撃する
同時期にかつてのパ−ティメンバ−だった男から
アヴァロン内で囁かれる幻のフィ−ルド「クラスSA」の噂を聞く
クラスSAの噂に後押しされ
油断ならぬ謎の男に誘われ
アッシュは明かにされていない「アヴァロン」の秘密へ足を踏み入れる
かのジェ−ムズキャメロン(タ−ミネ−タ−監督)や
マトリックスのウォシャウスキ−を驚愕させた世界の押井守の実写版映画です
一言で言うと凄い映画
日本人がよくここまでの映画を作れるもんだと
初めて見たときは本当に驚愕したもんです
本物志向というか
仮想とはいえ戦闘を行う映画なわけだけど
銃の扱い方一つとってみても、その一挙手一投足に不自然さが全くない
※マニアックな話だが、大抵の映画では銃火器の扱い方は下手くそ…っていうかありえない扱い方してる
そういう意味では万人が楽しめる映画では無いと思う
ましてや登場する銃火器や兵器(戦車とか)は
ポ−ランド軍で退役した実物を使用してるし
重要な人物にだけカラ−をつけたり
白黒ではなくセピアカラ−でのモノクロで「空虚感」を演出しているあたり
アニメ的な要素を上手く取り入れた傑作だと思えます
普通戦闘シ−ンっていうと「血沸き肉踊る」とか考えるだろうけど
この映画の戦闘は異常なほど淡々としていて
世界に対する絶望感とか虚無感を見事に現しているとも思える
固定されて動かない空とかね(これは友人Fが気付いた)
現実は空ろでゲ−ムの中はリアル感に溢れている
…と、これはラストシ−ンに絡んでくる事なので多くは言えませんが(笑)
これを見るとぶっちゃけた話
ほかの「現実逃避」や「ヴァ−チャルリアリティをモチ−フ」にした映画がチ−プに思える
またセピアとはいえモノクロだと華やかさに欠けると思うだろうけど
モノクロでここまで出来るのか!っていうくらい美しい映像です
同じ事は「シンドラ−のリスト」にも言えて
適材適所の「色」が、どれだけ視聴者にインパクトを与えるのか
そういった要所をきっちりと押さえて作ってあったりする
「万人にうける映画ではない」
さっきそう言ったけど、これは本当に興味本位で見て欲しくない
押井監督の最新作「イノセンス」
さも「何でも知ってます」って感じで公開前の特番で福沢がコメントしてたのを見たときは
正直「てめぇに何がわかる?」とムカついたもんだ
少なくとも「セカチュ−がさぁ→」とか言ってるお馬鹿が見ていい映画ではない
泣ける映画で泣かずに観れる人間を「玄人」だとすれば
「AVALON」はまさに玄人のために存在する映画であると言える
ケルベロスシリ−ズもそうだったが
延々と何かを食うシ−ンとか
そういった無駄な描写もしっかりあって
オレからすれば「あぁ押井さんはやっぱこうじゃね−と(笑)」と
思わず苦笑いしたくなる感じでもあったり(笑)
とにかく
この映画を素人は見るな
見ても素人には面白く映らない
それは断言できる