人が人を殺す、それは5秒後の世界を知る事にも似て
バトルロワイヤル
1999年 深作欣二監督作品
出演 藤原竜也、前田亜紀、北野武、安藤政信、柴崎コウ、山本太郎、栗山千明他
20世紀末期
日本国はついに経済破綻を起こし
失業率は過去最大、少年犯罪が激化し混沌とした世の中になった
歯止めの利かない少年犯罪に対し大人の執った対応
「BR法制定」
年1回、全国の中学校から三年生の1クラスを選出
離島に隔離し互いに殺し合わせるという
この常軌を逸した法律が目立った反論もなく制定された
主人公の七原は修学旅行の途中にバスごと国の機関に拉致され
彼と彼のクラスメイトは四国沖の離島へ監禁される
クラス全員が集められた離島分校の教室
そこには見知らぬ二人の男、川田(山本)と桐山(安藤)が彼らを威嚇するように睨んでいた
そして軍服にアサルトライフルも持った軍関係者と共に
彼らに「お前等、これから殺しあえ」と言い放った担当者は
女生徒中川(前田)のかつての担任教師「キタノ(北野武)」だった
反論した女生徒一人を投げナイフで殺すキタノ
更には七原の親友も爆弾で殺され、彼らは事の重大さに怯える
…川田・桐山の二名を除いて…
彼らは一人一人、装備と3日分の食料の入ったバッグを渡され
離島の夜の闇にそれぞれ散って行った…
1997年に発行され、各出版社から掲載禁止にされた大問題小説
※原作、高見広春
「バトルロワイヤル」の深作監督版作品です
「中学生の殺し合い」として、各方面からバッシングされ
若い世代に絶大な支持を受けた問題作
…だったのだが
確かにある意味凄い感じだった
映像の使い方も当時としては斬新だったと思える
※生徒一人が死ぬ際に、画面下にテロップが出たり
深作監督のエネルギッシュな演出もしっかりと生かされていた
ただ世論が嫌悪していた程の「残酷さ」はあまり感じられない
少なくとも俺には
何せこの映画を観ながら
「甘いね、俺ならもっと効率的に殺せる」
とか
「ば−か!ブ−ビ−トラップってのはそう仕掛けるんじゃねぇんだよ!」
とか、物騒な事を思ってたもんだ
正直この程度の映画で
「酷すぎる」とか言ってる評論家の脳の構造が理解出来ない
だもんで俺はこの映画を一種の「青春映画」として見ていた
極限状態の少年少女が本音をぶつけ合い
その結果後悔したりしなかったり
或いは殺し合い発展したり
主人公の苦悩に関しても
個人的には「ガキくせぇ」としか思えなかった
オブザ−バ−として登場した川田と桐山
両名は設定上
川田は「前BRの生き残り」
桐山は「志願してきた殺人狂」
そういうキャラクタ−で、互いは全くの正反対
川田は主人公達を助け
桐山はあちこちに「恐怖」という火種をばら撒く
最後の方での両名の対決は見ものだった
しかしながら前述の通り「残酷さ」といった要素は個人的にほとんど感じなかった
デスゲ−ム系の映画・物語は数々ある
※「ロ−ラ−ボ−ル」「ディフェンダ−」「バトルランナ−」等
そういう映画と比較してもカブる要素はいくらでもある
ただ殺しあうのが「中学生」っていうだけ
終盤あたりで天才ハッカ−の三村という少年が
本部に設置されたメインコンピュ−タ−をハッキング
本部が大混乱になるシ−ンがあるが
そのときの状況
「メインコンピュ−タ−にハッキング確認!」
「ウィルス確認!ダメです!感染速度抑えられません!」
「メインシステムフリ−ズ!システム停止まで数秒です!」
「え−い何とかならんのか!」
「無理です!島内監視エリア消失!デ−タが削除されました!」
……どこかで見た雰囲気だと思ったんだ
そう
「エヴァンゲリオン」での敵来襲のシ−ンに檄似なんだわこれが
そう思ってたらやっぱり「エヴァ」のパクりらしい(笑)
また、映画版オリジナル要素として
主要メンバ−が死ぬ際にサイレント映画の如く台詞のテロップが用意されていた
委員長内海「ねぇ、この意味解る?」
相馬光子「私はただ誰にも負けたくないだけよ」
といった感じ
※あえてキャスティングはここでは晒しませんが
ちなみにDVD版では映像特典としてキタノにも用意されてる
この台詞は結構印象的
ちなみに桐山は劇中一切台詞が無いんですが
※原作には少しあった
上記のテロップだけは当初用意されていて
キャストの安藤が「ここでテロップ付けたら桐山じゃない」と意見を出し
劇中から削除されたらしいです
もっとも、テロップが出されていたとしたら
「俺はそこでコインを投げたんだ」
に、なると思う
これは原作読んでいれば解るんだけどね(笑)
何はともあれ、世論では嫌悪され若者は支持し
更には「人の死」そのものをゲ−ムとして考える風潮を生み出した
※ガキのお馬鹿な犯罪の一部には、バトルロワイヤルの模倣と思えるのもあった
色んな意味での問題作だとは思うが…
まぁご自分の目で確かめてください