殺し殺され殺され損

ピストルオペラ

2001年 鈴木清順監督作品
出演 江角マキコ、永瀬正敏、山口小夜子、韓英恵、樹木希林、加藤治子、沢田研二、平幹二郎

東京駅、一人のスナイパ−「NO2昼行灯の萬(沢田)」が首筋を狙撃され、時計台に吊るされる
死体は何故か笑っていた
WAG(ワ−ルドアサシンギルド/設定より、本編ではこの名前は存在せず)所属の暗殺者
「NO3野良猫(江角)」は常に拳銃に執着する風変わりな女性
ギルドからの仕事を請けるのも「その時は拳銃を扱える」という理由からのみ
ある日、仕事仲間(?)の「NO5生活指導の先生」を成り行きから殺してしまう
咎められるわけではないが、ギルドの自称代理人「小夜子(山口)」からとある依頼を受ける
その内容は「ギルドNO1「百目」を殺せ」というもの
野良猫は「気に入らない」という理由から百目との対戦を避ける
が、半ば強制的に百目との戦闘に巻き込まれ…

あらすじ書いてみましたが
自分でも何書いてるのか解んないです;
殺し屋同士の戦闘という内容なので、見る前は派手な戦闘を連想していました
実際に見てみると映画というよりは「舞台」を見ている感じ
カメラワ−クは基本的に定点で固定されてて
ライトやそのほかの効果で全体の動きを見せる手法は新鮮でした

色を主体とした背景は「極彩色」という表現がぴったりはまるかと
そのせいもあってか、作品全体に不思議な雰囲気が漂っています
もっともそのせいでとんでもなくマニアック好みの映画になってるとも言えますが…

この映画では「人の死」というものが凄く希薄だと思えます
様々な映画では戦争で爆弾が落ちたりという描写で「ジェノサイド」を描いたりしますが
一対一の殺し合いではそれなりの「死」が感じられます
※「レオン」とか
しかし、ピストルオペラに関しては
基本的に一対一の殺し合いにも関わらずそういった「死」の雰囲気が全く感じられず
その辺が不自然に思えるかもしれません
実際に俺は違和感をずっと感じていました

そのくせ登場人物全体に漂う狂気 自称「NOゼロ チャンプのめ組(平)」はその典型かもしれないです
死ぬこと殺す事を絶対に考える思想
死を美化する行為そのものが不気味であるという事実
そういう意味で「常識はずれ」なこの映画は
実際賛否両論、大半は「イミワカンネ!」っていう反応だったと思います

本編では主要キャラクタ−3人がそれぞれの「死」を語るシ−ンがありますが
極彩色な背景とは裏腹に語る内容なグロテスクな美学に満ちていました
そういう二面性に近い手法は鈴木清順監督の狙いかもしれませんが
更に言うなら「語る」シ−ン以外での登場人物の台詞には
重みというものが一切感じられません
内容は凄まじいんですがそれを語る口がその重みを全部ぶち壊しています
そういうひねくれ感は俺がもっとも好む部分でもあるんですけど(笑)

正直説明するのが難しいです
実際見てみるともっと意味不明はモヤモヤした感触を味わえる映画だと思いますね