無機物と有機物に明快な境界を作らずに
ブレ−ドランナ−
1982年 リドリ−スコット監督作品
出演 ハリソンフォ−ド他
2020年の近未来
地球上には人間と「レプリカント」と呼ばれる人造人間が共存していた
彼らレプリカントは一定の年数を生きれば
人間と同じ感情を持ってしまう為にあらかじめ「寿命」を設定されていた
その事に疑問を感じた数体のレプリカントの男女が逃走
かつて対レプリカント専門のハンタ−「ブレ−ドランナ−」として生き
現在は第一線を離れていたデッカ−ド(ハリソンフォ−ド)は
逃走したレプリカントを追うため再びブレ−ドランナ−として復帰する
1960年代の名作SF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」の映画版で
近未来SFのパイオニアとも言える名作「ブレ−ドランナ−」です
名前は以前から知っていたのですが見たのはつい最近
ついでに言っておくと
この映画は一回見ただけでは絶対に理解出来ません
本来なら適役・悪役として描かれるレプリカント
ところが彼らの方がよっぽど人間らしいというか
人間が本来持っている征服欲のグロテスクさと
レプリカントのある意味「純粋」な精神構造
両者に善悪の境界線を張っていないのはわざとな気がします
※こういった手法は最近公開された「キャシャ−ン」を連想すればいいかと
SFなのにレプリカントが発する哲学的な問答
劇中の台詞でもっともインパクトがあったのはレプリカント「ネクサス6」の
「いろんなところへ行った。
オリオン座の近くで燃える貨物船を見た。
タンホイザ−ゲ−トのオ−ロラも見た。
だがその記憶もこの雨のようにやがて消えてしまうのか」
※記憶があいまいなので参考資料片手に書きました
作られた存在であるレプリカントにとってのアイデンテイティは
ずばり「記憶」であると思える台詞…ですが
我々人間のアイデンティティも当人の中にある「記憶」であるとも言えます
そう言った意味でも人間と人造人間の違いは無いわけで
上述したように昨今の近未来SFに多大な影響を与えたブレ−ドランナ−ですが
ヴィジュアル面で最も色濃くその設定を受け継いでいるのは
近年の角川の看板SFコミック「サイレントメビウス」だと俺は思います
飛行している無人広告船、酸性雨の降る町、人間とそれ以上に人間的な「モンスタ−」との戦闘
アンチモンスタ−専門の警察部隊
中には「パクリじゃねぇのか?」って話もあったりしましたし
まぁこの辺は余談ですけどね(笑)
何はともあれ視聴者(特に最近の若者には)には難解なブレ−ドランナ−ですが
SF映画が好きな人、攻殻機動隊の系統が好きな人、SFに興味を持ち始めた人
そういった方々には是非一回見てもらいたいですね